日本国憲法と基本的人権 / 精神の自由と身体の自由
頻出解法パターン
パターン1: 政教分離訴訟を「目的効果基準」で判定する
こんな問題で使う
国や地方公共団体の行為が、政教分離の原則に違反するかどうかを問う問題。
解法の手順
- 問題文から、誰が(国・県・市など)、何を(儀式・支出など)行ったのかを確認する。
- その行為の「目的」が世俗的か、宗教的意義を持つかを考える。
- その行為の「効果」が、特定の宗教を援助・助長・促進するか、あるいは圧迫・干渉することになるかを考える。
- 目的・効果の両面から、政教分離に違反する(違憲)か、違反しない(合憲)かを判断する。
具体例
体育館の起工式を神式で行った津地鎮祭訴訟では、目的が世俗的な儀礼であり、効果も特定宗教の援助にあたらないとして合憲と判断された。一方、靖国神社の例大祭に玉串料を支出した愛媛玉串料訴訟では、目的・効果ともに宗教的意義が強いとして違憲と判断された、という2つの結論をセットで押さえておく。
パターン2: 人権の「絶対的保障」と「相対的制約」を区別する
こんな問題で使う
ある人権が、公共の福祉によって制約されうるかどうかを問う問題。
解法の手順
- 問題になっている自由が、内心にとどまるもの(思想・良心など)か、外部的な行為を伴うもの(宗教的行為、表現行為など)かを区別する。
- 内心にとどまるものであれば、絶対的な保障を受けると判断する。
- 外部的な行為を伴うものであれば、他者の人権との調整のため、一定の制約がありうると判断する。
- ただし、検閲の禁止(21条2項)のように、外部的な行為に関する規定であっても、例外的に絶対的な禁止とされているものがある点に注意する。
具体例
19条の思想・良心の自由は内心にとどまるため絶対的に保障されるが、20条の信教の自由のうち宗教的行為の側面は、外部的な行為を伴うため一定の調整がありうる。一方で、21条2項の検閲の禁止は、外部的な表現行為に関する規定でありながら、例外のない絶対的な禁止とされている。
パターン3: 身体の自由の条文とキーワードを対応させる
こんな問題で使う
18条・31条・33条・35条・36条・38条・39条のうち、特定のキーワードがどの条文の内容かを問う問題。
解法の手順
- 問題文中のキーワード(令状、黙秘、拷問、遡及処罰など)を見つける。
- 「令状」なら33条(逮捕)・35条(捜索・押収)、「拷問・残虐な刑罰」なら36条、「黙秘・自白」なら38条、「遡及処罰・二重処罰」なら39条、「手続きの適正さ・罪刑法定主義」なら31条、というように対応する条文を思い出す。
- 選択肢の記述が、その条文の内容と一致しているかを確認する。
- 「原則」だけでなく「例外」(現行犯逮捕など)まで正確に一致しているかを確認する。
具体例
「拷問及び残虐な刑罰は絶対にこれを禁ずる」という記述を見たら、これは36条の内容であり、「絶対に」という文言から、公共の福祉による例外も認められない禁止であると判断できる。
パターン4: 正誤判定4択で「一部だけ間違っている」文を見抜く
こんな問題で使う
4つの選択肢のうち、正しいものを1つ選ぶ形式の正誤判定問題。
解法の手順
- 各選択肢を、事件名・年・条文・結論(合憲か違憲か)などの要素に分解する。
- 一見正しそうな選択肢ほど、結論(合憲・違憲)や、対象となる条文だけを入れ替えている場合が多いことを意識する。
- 自分が正確に覚えている事実(結論・条文・年)と、選択肢の記述を1つずつ照合する。
- すべての要素が一致している選択肢だけを正解として選ぶ。
具体例
「愛媛玉串料訴訟では、最高裁は玉串料の奉納を合憲と判断した」という選択肢は、事件名や「最高裁」という主体は正しいが、結論部分(合憲)だけが誤り(正しくは違憲)になっている典型的なパターンである。
パターン5: 判例の「結論」を訴訟名や年号から逆引きする
こんな問題で使う
訴訟名や年号だけが与えられ、その判例の結論(合憲・違憲)を答える問題。
解法の手順
- 訴訟名から、争われた行為の内容(誰が、何を行ったか)を思い出す。
- その行為が「世俗的な習俗行事」に近いか、「宗教的意義の強い行為」に近いかを考える。
- 世俗的な行事に近ければ合憲、宗教的意義が強ければ違憲、という傾向にあてはめて結論を推測する。
- 最終的には、個別に覚えている結論(津地鎮祭=合憲、愛媛玉串料=違憲)と照合して確認する。
具体例
「1977年、体育館の起工式」というキーワードから津地鎮祭訴訟を思い出し、これが合憲判決であったことを確認する。「1997年、靖国神社への玉串料」というキーワードから愛媛玉串料訴訟を思い出し、これが違憲判決であったことを確認する。
パターン6: 組み合わせ問題(事件名・結論・条文を結ぶ形式)を解く
こんな問題で使う
複数の事件の説明文と、事件名・結論・条文などをそれぞれ線で結んだり、記号で組み合わせたりする問題。
解法の手順
- 説明文の中から、主体(誰が)・対象(何に対して)・行為の内容という3つのキーワードを抜き出す。
- それぞれのキーワードから、対応する事件名を特定する。
- 事件名がわかったら、その事件の結論(合憲・違憲)を対応させる。
- すべての組み合わせについて、キーワード→事件名→結論、という順序で機械的に確認し、消去法も併用して正解の組み合わせを絞り込む。
具体例
「県」「靖国神社」「玉串料」というキーワードから愛媛玉串料訴訟を特定し、その結論である「違憲」と組み合わせる。「市」「体育館」「神式の地鎮祭」というキーワードから津地鎮祭訴訟を特定し、その結論である「合憲」と組み合わせる。