日本国憲法と基本的人権 / 経済の自由と平等権

よくある間違い

間違い1: 尊属殺重罰規定違憲判決と婚外子相続分差別違憲決定の年を入れ替える

よくある誤答例

「尊属殺重罰規定違憲判決は2013年、婚外子相続分差別違憲決定は1973年」と、2つの判例の年を逆に覚えてしまう。

なぜ間違いなのか

正しくは、尊属殺重罰規定違憲判決が1973年、婚外子相続分差別違憲決定が2013年です。どちらも14条違反(違憲)という同じ結論のため、年号だけを入れ替えてしまう誤りが多く見られます。

正しい考え方

「尊属殺=刑法200条=1973年」「婚外子相続分=民法900条=2013年」というように、対象条文と年号をセットにして覚えましょう。刑法(古い分野)の判決の方が先(1973年)、民法(家族の在り方の変化に関わる分野)の判決の方が後(2013年)、という時代の流れで整理するのも有効です。

間違い2: 3つの平等権判例の結論をすべて同じだと思い込む

よくある誤答例

尊属殺重罰規定違憲判決、婚外子相続分差別違憲決定、夫婦同姓規定合憲判決の3つを、すべて「違憲」判決だと思い込んでしまう。

なぜ間違いなのか

尊属殺重罰規定違憲判決(1973年)と婚外子相続分差別違憲決定(2013年)は違憲判決ですが、夫婦同姓規定合憲判決(2015年、2021年も維持)は、民法750条の規定を憲法に違反しない(合憲)と判断したものです。判例の名称に「合憲判決」と入っていること自体がヒントになります。

正しい考え方

3つの判例のうち、結論が「合憲」なのは夫婦同姓規定合憲判決だけである、という1点を軸に整理しましょう。

間違い3: 婚外子相続分差別違憲決定を「判決」と呼んでしまう

よくある誤答例

婚外子相続分差別違憲決定について、他の2つと同じように「婚外子相続分差別違憲判決」と表記してしまう。

なぜ間違いなのか

この事件は、相続をめぐる家事審判事件であったため、最高裁が示した判断の形式は「判決」ではなく「決定」です。尊属殺重罰規定違憲判決や夫婦同姓規定合憲判決が(刑事・民事の)「判決」であるのとは異なります。

正しい考え方

「尊属殺重罰規定違憲判決」「婚外子相続分差別違憲決定」「夫婦同姓規定合憲判決」というように、正式名称の「判決」「決定」の違いまで含めて覚えましょう。

間違い4: 夫婦同姓規定合憲判決の対象条文を14条だけだと思い込む

よくある誤答例

夫婦同姓規定合憲判決で問題となった条文を14条のみだと考え、24条との関係を見落としてしまう。

なぜ間違いなのか

夫婦同姓規定合憲判決では、民法750条の夫婦同氏制の規定が、14条の法の下の平等だけでなく、24条の婚姻の自由・両性の本質的平等にも違反しないかが争われました。14条だけの問題ではありません。

正しい考え方

夫婦同姓規定合憲判決は「14条・24条」の両方に関わる判例として覚えましょう。

間違い5: 経済の自由は精神の自由と同じ強さでしか制約されないと考える

よくある誤答例

経済の自由も精神の自由も、公共の福祉による制約の強さは同じだと考えてしまう。

なぜ間違いなのか

経済の自由は、社会全体の利益の実現や弱者保護、経済的格差の是正といった政策的な目的のために、精神の自由よりも強い制約(政策的制約)を受けることが認められています。これは「二重の基準論」という考え方に基づくものです。

正しい考え方

「経済の自由は精神の自由よりも強い制約を受ける」という非対称性を、二重の基準論という言葉とあわせて覚えましょう。

間違い6: 二重の基準論の「厳格」「緩やか」を逆に覚える

よくある誤答例

二重の基準論について、「経済的自由を規制する法律の方が、精神的自由を規制する法律より厳格に審査される」と逆に覚えてしまう。

なぜ間違いなのか

正しくは逆で、精神的自由を規制する法律の方がより厳格に、経済的自由を規制する法律の方がより緩やかに審査されるべきだ、とするのが二重の基準論です。精神的自由が民主政治の過程そのものを支える自由であることが、厳格に審査すべき理由とされています。

正しい考え方

「精神的自由=厳格」「経済的自由=緩やか」という対応を、それぞれの自由が持つ役割の違いとあわせて整理しましょう。

間違い7: 薬事法距離制限違憲判決と森林法共有林分割制限違憲判決の対象条文を混同する

よくある誤答例

薬事法距離制限違憲判決を29条(財産権)の問題、森林法共有林分割制限違憲判決を22条(職業選択の自由)の問題だと、条文を逆に覚えてしまう。

なぜ間違いなのか

正しくは、薬事法距離制限違憲判決は22条1項の職業選択の自由(薬局の開設という「職業」に関する規制)の問題であり、森林法共有林分割制限違憲判決は29条の財産権(共有林という「財産」の分割に関する規制)の問題です。

正しい考え方

「薬局を開く=職業選択=22条」「森林という財産の分割=財産権=29条」というように、規制の対象が「職業に関するもの」か「財産に関するもの」かで条文を判別しましょう。

間違い8: 14条の列挙事由を限定列挙だと誤解する

よくある誤答例

14条が列挙する「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」以外の理由による差別は、憲法上まったく問題にならないと考えてしまう。

なぜ間違いなのか

14条の列挙事由は、差別が問題になりやすい代表例を示したもの(例示列挙)と解されており、これら以外の事由による不合理な差別も、14条の禁止する差別にあたりうるとされています。

正しい考え方

14条の平等は「合理的な理由のない区別は許されない」という相対的平等の考え方であり、列挙されている事由に限定されるものではない、と理解しましょう。

間違い9: アイヌ文化振興法とアイヌ民族支援法の内容・年を混同する

よくある誤答例

アイヌを法律上初めて「先住民族」と明記したのは1997年のアイヌ文化振興法だと誤解してしまう。

なぜ間違いなのか

アイヌを法律上初めて先住民族と明記したのは、2019年に制定されたアイヌ民族支援法です。1997年のアイヌ文化振興法は、それに先立ってアイヌの伝統文化の振興を図った法律であり、「先住民族」の明記までは行っていません。

正しい考え方

「1997年=アイヌ文化振興法(文化振興)」「2019年=アイヌ民族支援法(先住民族と明記)」というように、2つの法律を時系列で区別して覚えましょう。