日本国憲法と基本的人権 / 新しい人権

アクセス権・自己決定権

要点整理

アクセス権

現代社会では、新聞・テレビなどのマスメディアが圧倒的な情報発信力を持つ一方、一般の国民が自分の意見を広く発表する手段は限られています。そこで主張されるようになったのがアクセス権です。これは、情報の受け手である国民が、情報の送り手であるマスメディアに対して、反論文の掲載や意見発表の場の提供を要求する権利です。マスメディアの表現の自由(編集の自由)との関係で、アクセス権をどこまで法的な権利として認めるかについては、慎重な立場が強いとされています。

自己決定権とインフォームド・コンセント

自己決定権とは、自分の生き方や生活の仕方について、公権力から干渉されることなく自ら決定する権利です。結婚や出産、髪型や服装、そして治療方法の選択など、個人の人格に深く関わる私的な事柄について、本人の意思が尊重されるべきだという考え方に基づいています。自己決定権も、憲法13条の幸福追求権を根拠に主張される新しい人権です。

自己決定権の代表例としてよく取り上げられるのがインフォームド・コンセントです。これは、医師が患者に対して、病状・治療方法・危険性などについて十分な説明を行い、患者本人の納得と同意を得たうえで治療を行うべきだという考え方で、患者が自分の受ける医療について自ら決定できることを保障するものです。

世界人権宣言と国際人権規約

人権の保障は一国内にとどまらず、国際的にも広がりを見せてきました。その出発点となったのが、1948年に国連総会で採択された世界人権宣言です。世界人権宣言は、すべての人民とすべての国とが達成すべき人権保障の共通の基準を示したものですが、あくまで宣言であり、加盟国に対する法的拘束力は持ちません

この世界人権宣言の内容を条約化し、各国に対する法的拘束力を持たせる形で具体化したのが、1966年に採択された国際人権規約です。国際人権規約は、社会権的な権利を扱うA規約(社会権規約)と、自由権的な権利を扱うB規約(自由権規約)の2つの規約から構成されています。「世界人権宣言=宣言・法的拘束力なし」「国際人権規約=条約・法的拘束力あり」という違いは、頻出のひっかけポイントです。

世界人権宣言 国際人権規約
採択年 1948年 1966年
採択機関 国連総会 国連総会
位置づけ 宣言 条約
法的拘束力 なし あり
関係 世界人権宣言の内容を条約化し具体化したもの

知的財産権と情報リテラシー

情報化社会の進展にともない、著作物・デザイン・発明などの創作的な成果を、創作者の財産として保護する**知的財産権(知的所有権)**の重要性も高まっています。著作権や特許権、商標権などがこれに含まれます。

また、インターネット上にあふれる大量の情報の中から、必要な情報を主体的に取捨選択し、その真偽を見抜いたうえで適切に活用する能力を**情報リテラシー(メディアリテラシー)**といいます。情報化社会を生きるうえで、権利の保障とあわせて身につけるべき能力として位置づけられています。

例題

例題1(基本)

問題

次の文章の空欄に当てはまる語句を答えよ。

情報の受け手である国民が、マスメディアに対して自己の意見発表の場の提供を求める権利を(①)という。また、医師が患者に十分な説明を行い、同意を得たうえで治療を行うべきとする考え方を(②)という。

解答・解説を見る

マスメディアに意見発表の場を求める権利はアクセス権、患者への説明と同意に基づく治療の考え方はインフォームド・コンセントです。

答え:①アクセス権 ②インフォームド・コンセント

例題2(標準)

問題

世界人権宣言と国際人権規約に関する記述として最も適切なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 世界人権宣言は1966年に、国際人権規約は1948年に、それぞれ国連総会で採択された。 ② 世界人権宣言は加盟国を法的に拘束する条約であり、国際人権規約は法的拘束力を持たない宣言である。 ③ 国際人権規約は、世界人権宣言の内容を条約化し、各国を法的に拘束するものとして具体化したものである。 ④ 世界人権宣言も国際人権規約も、どちらも加盟国に対する法的拘束力を持たない。

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①は年号が逆で、世界人権宣言が1948年、国際人権規約が1966年です。②は性質が逆で、世界人権宣言は法的拘束力を持たない宣言、国際人権規約が法的拘束力を持つ条約です。④は誤りで、国際人権規約には法的拘束力があります。③が正しい記述です。

答え:③

例題3(応用)

問題

次のA〜Cの語句と、その説明ア〜ウの組み合わせとして正しいものを、あとの①〜④のうちから一つ選べ。

A アクセス権 B 自己決定権 C 知的財産権

ア 著作物やデザイン、発明などの創作的な成果を財産として保護するための権利の総称。 イ 自分の生き方・生活の仕方について、公権力から干渉されることなく自ら決定する権利。 ウ 情報の受け手である国民が、マスメディアに対して意見発表の場の提供を求める権利。

① A-ウ B-イ C-ア ② A-イ B-ウ C-ア ③ A-ウ B-ア C-イ ④ A-ア B-イ C-ウ

解答・解説を見る

アクセス権(A)はマスメディアへの意見発表の場を求める権利なのでウ、自己決定権(B)は自分の生き方を自ら決める権利なのでイ、知的財産権(C)は創作的成果を保護する権利の総称なのでアです。

答え:①

例題4(発展)

問題

国際的な人権保障に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選べ。

① 世界人権宣言は1948年に国連総会で採択されたが、加盟国に対する法的拘束力は持たない。 ② 国際人権規約は、社会権的な権利を扱う規約と、自由権的な権利を扱う規約から構成されている。 ③ 国際人権規約は、世界人権宣言よりも先に採択され、その後の世界人権宣言採択の基礎となった。 ④ 国際人権規約は、世界人権宣言の内容を条約という形で法的に具体化したものである。

解答・解説を見る

③が誤りです。採択の順序が逆で、1948年の世界人権宣言のほうが先に採択され、その内容を条約化して法的拘束力を持たせたものが1966年の国際人権規約です。①・②・④はいずれも正しい記述です。「どちらが先か」という順序を逆にするひっかけには特に注意しましょう。

答え:③

確認問題

問題

世界人権宣言と国際人権規約の違いを、「法的拘束力」という語句を用いて40字程度で説明せよ。

答え

世界人権宣言は法的拘束力を持たない宣言だが、国際人権規約はその内容を条約化し法的拘束力を持たせたものである。