日本国憲法と基本的人権 / 平和主義と自衛隊

自衛隊の歴史(警察予備隊から自衛隊へ)

要点整理

警察予備隊の発足(1950年)

1950年、朝鮮半島で朝鮮戦争が勃発すると、日本を占領していた在日米軍の多くが朝鮮半島に出動することになりました。これにより日本国内の治安維持力が手薄になることを懸念したGHQの指示により、同じ1950年に警察予備隊が発足しました。名称のとおり、当初は「警察」を補う組織という位置づけでした。

保安隊への改編(1952年)

1952年、サンフランシスコ平和条約の発効とほぼ同時期に、警察予備隊は保安隊に改編されました。警察予備隊の段階から保安隊の段階に進むにつれて、組織の規模や装備は次第に強化されていきました。

自衛隊の発足(1954年)とMSA協定

1954年、日本はアメリカとの間で**日米相互防衛援助協定(MSA協定)**を結びました。これは、アメリカからの経済的・軍事的援助を受ける見返りとして、日本が自国の防衛力を増強する義務を負うという内容の協定です。

このMSA協定にもとづく防衛力増強の一環として、同じ1954年7月防衛庁(現在の防衛省)が設置されるとともに、自衛隊法が制定されて保安隊が改組され、自衛隊が発足しました。

この一連の流れ、**警察予備隊(1950年)→保安隊(1952年)→自衛隊(1954年)**という組織名と年の対応、およびそのきっかけとなった出来事(朝鮮戦争→サンフランシスコ平和条約→MSA協定)は、年号・名称ともに正確に覚える必要がある最頻出ポイントです。

組織名 きっかけ・関連事項
1950年 警察予備隊 発足 朝鮮戦争勃発、GHQの指示
1952年 保安隊 に改編 サンフランシスコ平和条約発効と同時期
1954年 自衛隊 発足(自衛隊法制定、防衛庁設置) MSA協定(日米相互防衛援助協定)による防衛力増強義務

自衛隊の合憲性についての政府見解

自衛隊のような実力組織を持つことが、9条の「戦力不保持」に反しないのかという疑問は、自衛隊発足当初から現在に至るまで議論の対象となってきました。これに対して政府は、一貫して次の立場をとっています。

憲法9条は、自衛のための必要最小限度の実力を持つことまでは禁じていない。自衛隊は、この必要最小限度の実力にとどまるものであるから、9条が保持を禁じている「戦力」には当たらず、合憲である。

この政府見解は、9条をめぐる主要な裁判(次の単元で学ぶ砂川事件・恵庭事件・長沼ナイキ基地訴訟・百里基地訴訟)においても、政府側の一貫した主張の基礎になっています。

文民統制(シビリアン・コントロール)

自衛隊のような実力組織が、軍人だけの判断で暴走することを防ぐため、日本では文民統制(シビリアン・コントロール)の原則がとられています。自衛隊の最高指揮監督権は、選挙によって選ばれた国会議員の中から指名される内閣総理大臣にあり、防衛大臣も文民(職業軍人でない者)でなければなりません。

なぜテストで狙われるか

  • 警察予備隊(1950)→保安隊(1952)→自衛隊(1954)という組織名と年号・順序の正確な対応。年号の入れ替え、組織名の順序の入れ替えが定番のひっかけです。
  • それぞれの改編・発足のきっかけ(朝鮮戦争、サンフランシスコ平和条約、MSA協定)との対応。
  • 「MSA協定」の正式名称(日米相互防衛援助協定)とその内容(援助の見返りとしての防衛力増強義務)。
  • 自衛隊が合憲とされる政府見解のキーワード「自衛のための必要最小限度の実力」の正確な文言。
  • 文民統制の原則と、自衛隊の最高指揮監督権が内閣総理大臣にあること。

例題

例題1(基本)

問題

次の文の空欄に当てはまる語句・年を答えよ。

1950年、(1)の勃発を機に(2)が発足した。1952年、サンフランシスコ平和条約の発効とほぼ同時期に、これは(3)に改編された。1954年、日本はアメリカとの間で(4)(通称MSA協定)を結び、防衛力増強の義務を負うこととなり、同年、自衛隊法の制定により(5)が発足した。

解答・解説を見る

組織の変遷と、それぞれのきっかけとなった出来事・協定名を順に埋めます。

答え:(1)朝鮮戦争 (2)警察予備隊 (3)保安隊 (4)日米相互防衛援助協定 (5)自衛隊

例題2(標準)

問題

自衛隊発足までの経緯について述べた文として誤っているものを、次の①〜④のうちから1つ選べ。

① 警察予備隊は、朝鮮戦争勃発を受けてGHQの指示により1950年に発足した。 ② 保安隊は、1952年に警察予備隊を改編して発足した。 ③ 自衛隊は、1954年にMSA協定にもとづく防衛力増強義務を背景として発足した。 ④ 自衛隊の発足と同時に、保安隊が新たに設置された。

解答・解説を見る

①・②・③はいずれも正しい記述です。 ④が誤りです。組織の変遷の順序は「警察予備隊→保安隊→自衛隊」であり、自衛隊は保安隊を改組する形で発足しました。「自衛隊の発足と同時に保安隊が設置された」という記述は、発展の順序が逆になっています。

答え:④

例題3(応用)

問題

次のA〜Cの出来事を、年代の古い順に並べ替えよ。

A. MSA協定の締結と自衛隊の発足 B. 警察予備隊の発足 C. 保安隊への改編

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警察予備隊の発足は1950年、保安隊への改編は1952年、MSA協定の締結と自衛隊の発足は1954年です。

答え:B→C→A

例題4(発展)

問題

次の文章のうち、内容が正しいものには○、誤っているものには×をつけよ。

(a) 警察予備隊は、朝鮮戦争によって日本国内の治安維持力が手薄になることを懸念して発足した。 (b) MSA協定とは、日米相互防衛援助協定の通称であり、アメリカからの援助の見返りに日本が防衛力を増強する義務を負うという内容である。 (c) 政府は、自衛隊は9条が禁止する「戦力」に該当するが、例外的に合憲であるという立場をとっている。 (d) 自衛隊の最高指揮監督権は、防衛大臣ではなく内閣総理大臣にある。

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(a) 正しい。在日米軍の朝鮮半島出動にともなう治安維持力の低下への対応という経緯のとおりです。 (b) 正しい。MSA協定の正式名称と内容のとおりです。 (c) 誤り。政府見解は、自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力にとどまるため、そもそも9条が禁止する「戦力」には当たらないという立場であり、「戦力に該当するが例外的に合憲」という説明ではありません。この違いは細かいですが重要な区別です。 (d) 正しい。文民統制の原則により、自衛隊の最高指揮監督権は内閣総理大臣にあります。

答え:(a)○ (b)○ (c)× (d)○

確認問題

問題

1950年に朝鮮戦争を機にGHQの指示で発足し、1952年に保安隊へと改編された組織の名称を答えよ。

答え

警察予備隊