数学C

総合演習

この総合演習について

数学Cはベクトル平面上の曲線と複素数平面という、一見別々の単元に見えます。しかし実際には、複素数平面上の点は「実部・虚部」という2つの成分を持つ点であり、その加法・実数倍は平面ベクトルの加法・実数倍とまったく同じ規則に従います。さらに、複素数の掛け算には「回転」という、ベクトルの演算だけでは簡単には表せない働きがあります。

この総合演習では、この2つの単元(ベクトルの成分・内積、複素数平面の極形式・回転、2次曲線の媒介変数表示など)を組み合わせた問題を6問用意しました。最後の問題は、複素数の回転を使って2次曲線の標準形を求める、少し発展的な内容です。

総合問題1

問題

複素数平面上に点 $\mathrm A(2+i)$ がある。原点 $\mathrm O$ を中心に $\mathrm A$ を $60^{\circ}$ 回転させた点を $\mathrm B$ とする。

(1) ド・モアブルの定理(複素数の極形式のかけ算)の考え方を用いて、点 $\mathrm B$ を表す複素数を求めよ。

(2) ベクトル $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、$\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ の内積を成分計算によって求め、$\cos\angle\mathrm{AOB}$ の値が確かに $\cos60^{\circ}$ に一致することを確かめよ。

解答・解説を見る

単元の組み合わせ: 複素数平面の回転(極形式のかけ算)によって点を求め、その結果をベクトルの内積の定義を使って検証する問題です。

(1)

複素数平面上で、ある複素数に $\cos\theta+i\sin\theta$ をかけると、原点を中心に角 $\theta$ だけ回転した点が得られます。今回は $\theta=60^{\circ}$ で、$\cos60^{\circ}=\dfrac12$、$\sin60^{\circ}=\dfrac{\sqrt3}2$ なので、

$\mathrm B = (2+i)\left(\frac12+\frac{\sqrt3}2i\right)$

右辺を展開します。

$= 2\times\frac12 + 2\times\frac{\sqrt3}2i + i\times\frac12 + i\times\frac{\sqrt3}2i$

$= 1+\sqrt3\,i+\frac12i+\frac{\sqrt3}2i^2$

$i^2=-1$ なので、最後の項は $-\dfrac{\sqrt3}2$ になります。実部どうし、虚部どうしをそれぞれまとめると、

$\mathrm B = \left(1-\frac{\sqrt3}2\right) + \left(\sqrt3+\frac12\right)i = \frac{2-\sqrt3}2 + \frac{2\sqrt3+1}2i$

(2)

複素数 $x+yi$ に対応する点は座標平面上の点 $(x,y)$ とみなせるので、$\overrightarrow{\mathrm{OA}}=(2,1)$、$\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\left(\dfrac{2-\sqrt3}2,\ \dfrac{2\sqrt3+1}2\right)$ です。

内積の定義(成分どうしの積の和)より、

$\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}} = 2\times\frac{2-\sqrt3}2 + 1\times\frac{2\sqrt3+1}2 = (2-\sqrt3)+\frac{2\sqrt3+1}2$

通分してまとめます。

$= \frac{2(2-\sqrt3)}2+\frac{2\sqrt3+1}2 = \frac{(4-2\sqrt3)+(2\sqrt3+1)}2 = \frac{5}2$

($-2\sqrt3$ と $+2\sqrt3$ が打ち消し合うことに注目してください。)

一方、$|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|=\sqrt{2^2+1^2}=\sqrt5$ です。回転は図形の大きさを変えない操作なので、$|\overrightarrow{\mathrm{OB}}|$ も $|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|$ と等しく $\sqrt5$ になるはずです(実際に成分から計算しても $\left(\dfrac{2-\sqrt3}2\right)^2+\left(\dfrac{2\sqrt3+1}2\right)^2=5$ となることを確かめられます)。

内積の定義 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}}=|\overrightarrow{\mathrm{OA}}||\overrightarrow{\mathrm{OB}}|\cos\angle\mathrm{AOB}$ から、

$\cos\angle\mathrm{AOB} = \frac{\overrightarrow{\mathrm{OA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{OB}}}{|\overrightarrow{\mathrm{OA}}||\overrightarrow{\mathrm{OB}}|} = \frac{\frac52}{\sqrt5\times\sqrt5} = \frac{\frac52}5=\frac12$

たしかに $\cos60^{\circ}=\dfrac12$ と一致しました。複素数の掛け算による「回転」という操作と、ベクトルの内積から求めた「なす角」が、矛盾なくつながっていることが確認できました。

答え:(1) $\mathrm B=\dfrac{2-\sqrt3}2+\dfrac{2\sqrt3+1}2i$ (2) $\cos\angle\mathrm{AOB}=\dfrac12=\cos60^{\circ}$(導出は解説の通り)

総合問題2

問題

点 $\mathrm A(1,2)$ を通り、方向ベクトル $\vec d=(3,-1)$ に平行な直線を $\ell$ とする。

(1) 媒介変数 $t$ を用いて、直線 $\ell$ 上の点 $(x,y)$ を表せ。

(2) (1)から $t$ を消去して、直線 $\ell$ の方程式を $x,y$ の関係式で表せ。

(3) 原点 $\mathrm O$ から直線 $\ell$ に下ろした垂線の足を $\mathrm H$ とする。ベクトルの内積を利用して、$\mathrm H$ の座標を求めよ。

解答・解説を見る

単元の組み合わせ: 直線の媒介変数表示(平面上の曲線の単元の内容)と、ベクトルの内積・垂直条件を組み合わせて、直線上の特定の点を求める問題です。

(1)

直線 $\ell$ 上の点は、点 $\mathrm A(1,2)$ から方向ベクトル $\vec d=(3,-1)$ の実数倍だけ進んだ点として表せます。

$(x,y) = (1,2)+t(3,-1) = (1+3t,\ 2-t)$

(2)

$x=1+3t$ より $t=\dfrac{x-1}3$。これを $y=2-t$ に代入すると、

$y = 2-\frac{x-1}3$

両辺を $3$倍します。

$3y = 6-(x-1) = 7-x$

$x+3y=7$

(3)

垂線の足 $\mathrm H$ は、直線 $\ell$ 上の点なので、ある $t$ の値を使って $\mathrm H=(1+3t,\ 2-t)$ と表せます。$\mathrm H$ が垂線の足であるためには、$\overrightarrow{\mathrm{OH}}$ が方向ベクトル $\vec d$ に垂直、すなわち $\overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec d=0$ である必要があります。

$\overrightarrow{\mathrm{OH}} = (1+3t,\ 2-t)$

$\overrightarrow{\mathrm{OH}}\cdot\vec d = 3(1+3t)+(-1)(2-t) = 3+9t-2+t = 1+10t$

これが $0$ になる $t$ を求めます。

$1+10t=0 \quad\Longrightarrow\quad t=-\frac1{10}$

これを $\mathrm H$ の式に代入します。

$\mathrm H = \left(1+3\times\left(-\frac1{10}\right),\ 2-\left(-\frac1{10}\right)\right) = \left(1-\frac3{10},\ 2+\frac1{10}\right) = \left(\frac7{10},\ \frac{21}{10}\right)$

検算: $\mathrm H$ が直線 $\ell$ の式 $x+3y=7$ を満たすか確認します。$\dfrac7{10}+3\times\dfrac{21}{10} = \dfrac7{10}+\dfrac{63}{10}=\dfrac{70}{10}=7$ となり、確かに満たしています。

答え:(1) $(x,y)=(1+3t,\ 2-t)$ (2) $x+3y=7$ (3) $\mathrm H=\left(\dfrac7{10},\ \dfrac{21}{10}\right)$

総合問題3

問題

楕円 $\dfrac{x^2}9+\dfrac{y^2}4=1$ 上の点を $\mathrm P(3\cos\theta,\ 2\sin\theta)$(媒介変数表示)とする。

(1) 原点 $\mathrm O$ からの距離 $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|$ の2乗を、$\theta$ を用いて表せ。

(2) $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|$ の最大値・最小値と、そのときの $\theta$ の値、および点 $\mathrm P$ の座標を求めよ。

解答・解説を見る

単元の組み合わせ: 楕円の媒介変数表示を使って表した点の位置ベクトルの大きさを、ベクトルの成分計算によって調べる問題です。

(1)

$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=(3\cos\theta,\ 2\sin\theta)$ なので、ベクトルの大きさの2乗は成分の2乗の和です。

$|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|^2 = (3\cos\theta)^2+(2\sin\theta)^2 = 9\cos^2\theta+4\sin^2\theta$

$\sin^2\theta=1-\cos^2\theta$ を代入して、$\cos\theta$ だけの式に整理します。

$9\cos^2\theta+4(1-\cos^2\theta) = 9\cos^2\theta+4-4\cos^2\theta = 4+5\cos^2\theta$

$|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|^2 = 4+5\cos^2\theta$

(2)

$\cos^2\theta$ のとりうる値の範囲は $0\le\cos^2\theta\le1$ です。したがって、

$|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|^2 = 4+5\cos^2\theta$

は、$\cos^2\theta=0$ のとき最小値 $4$、$\cos^2\theta=1$ のとき最大値 $9$ をとります。

最大のとき: $\cos^2\theta=1$ より $\cos\theta=\pm1$、すなわち $\theta=0,\pi$。このとき $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|^2=9$ より $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|=3$。点 $\mathrm P$ の座標は、$\theta=0$ のとき $(3,0)$、$\theta=\pi$ のとき $(-3,0)$。

最小のとき: $\cos^2\theta=0$ より $\cos\theta=0$、すなわち $\theta=\dfrac{\pi}2,\dfrac{3\pi}2$。このとき $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|^2=4$ より $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|=2$。点 $\mathrm P$ の座標は、$\theta=\dfrac{\pi}2$ のとき $(0,2)$、$\theta=\dfrac{3\pi}2$ のとき $(0,-2)$。

この結果は、楕円の長軸(長さ $2\times3=6$ の軸、原点からの距離は半分の $3$)の両端で原点からの距離が最大になり、短軸(原点からの距離は半分の $2$)の両端で最小になる、という図形的な直観ともぴったり一致しています。

答え:(1) $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|^2=4+5\cos^2\theta$ (2) 最大値 $3$($\theta=0,\pi$、点は $(\pm3,0)$)、最小値 $2$($\theta=\dfrac{\pi}2,\dfrac{3\pi}2$、点は $(0,\pm2)$)

総合問題4

問題

複素数平面上に、原点 $\mathrm O$ を中心とする半径 $2$ の円に内接する正六角形の頂点 $z_0,z_1,\dots,z_5$ があり、

$z_k = 2\left(\cos\frac{k\pi}3+i\sin\frac{k\pi}3\right)\qquad(k=0,1,\dots,5)$

と表される($z_0=2$)。

(1) $z_1$ を $a+bi$ の形で求めよ。

(2) 点 $z_0$ から点 $z_1$ に向かうベクトルの大きさ $|z_1-z_0|$ を求めよ。

(3) (2)の結果と、正六角形の1辺の長さ・外接円の半径の関係について、気づいたことを述べよ。

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単元の組み合わせ: 複素数平面の極形式で表された点を、ベクトルの考え方(2点の差=2点間のベクトル、その大きさ=2点間の距離)で扱う問題です。

(1)

$k=1$ を代入すると、

$z_1 = 2\left(\cos60^{\circ}+i\sin60^{\circ}\right) = 2\left(\frac12+\frac{\sqrt3}2i\right) = 1+\sqrt3\,i$

(2)

複素数平面上で、2つの複素数 $\alpha,\beta$ に対応する点を結ぶベクトル(点 $\alpha$ から点 $\beta$ に向かうベクトル)は、複素数の差 $\beta-\alpha$ に対応し、その大きさ $|\beta-\alpha|$ が2点間の距離になります。これは、平面ベクトルで2点 $\mathrm A,\mathrm B$ 間の距離を $|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|=|\vec b-\vec a|$ で求めるのと、まったく同じ考え方です。

$z_1-z_0 = (1+\sqrt3i)-2 = -1+\sqrt3i$

$|z_1-z_0| = \sqrt{(-1)^2+(\sqrt3)^2} = \sqrt{1+3}=\sqrt4=2$

(3)

$z_0$ から $z_1$ へのベクトルの大きさ $2$ は、正六角形の1辺の長さそのものです。そして、この正六角形の外接円の半径も $2$(問題文で与えられた半径)でした。

つまり、この計算は「正六角形の1辺の長さは、外接円の半径に等しい」という、図形の性質としてよく知られた事実を、複素数平面上のベクトル計算によって具体的に確かめたことになります。正六角形は、中心角がちょうど $60^{\circ}$($=\dfrac{360^{\circ}}6$)であり、2つの半径とその間の辺でできる三角形が正三角形になるため、この性質が成り立つのでした。

答え:(1) $z_1=1+\sqrt3i$ (2) $|z_1-z_0|=2$ (3) 正六角形の1辺の長さは外接円の半径に等しく、この計算はその事実と一致する

総合問題5

問題

平面ベクトル $\vec a=(2,0)$、$\vec b=(0,2)$ を考える。

(1) $|\vec a+\vec b|$ を求めよ。

(2) 複素数平面上で、$\vec a$ に対応する複素数を $\alpha=2$、$\vec b$ に対応する複素数を $\beta=2i$ とする。$\alpha+\beta$ が表す複素数の絶対値を求め、(1)の結果と比較せよ。

(3) 座標空間の点 $\mathrm A(2,0,0)$、$\mathrm B(0,2,0)$、$\mathrm C(0,0,2)$ に対し、$\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ の大きさを求めよ。また、この計算を複素数の範囲でそのまま真似することができない理由を説明せよ。

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単元の組み合わせ: 複素数平面の加法がベクトル(平面ベクトル)の加法と同じ構造を持つことを確認したうえで、その構造が空間ベクトルへどう拡張され、どこで複素数の範囲を超えるのかを考える問題です。

(1)

$\vec a+\vec b = (2,0)+(0,2)=(2,2)$ なので、

$|\vec a+\vec b| = \sqrt{2^2+2^2}=\sqrt8=2\sqrt2$

(2)

複素数の加法は、実部どうし・虚部どうしを足すという規則なので、

$\alpha+\beta = 2+2i$

絶対値は、複素数 $x+yi$ の絶対値の定義 $\sqrt{x^2+y^2}$ より、

$|\alpha+\beta| = \sqrt{2^2+2^2}=\sqrt8=2\sqrt2$

(1)の $|\vec a+\vec b|=2\sqrt2$ とぴったり一致しました。これは偶然ではなく、複素数 $x+yi$ を平面上の点 $(x,y)$(あるいは原点からその点へのベクトル)とみなしたとき、複素数の加法が、対応するベクトルの成分ごとの加法(平行四辺形の法則)とまったく同じ計算になっているためです。

(3)

空間ベクトルの加法も、成分ごとに足し合わせる規則です。

$\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}} = (2,0,0)+(0,2,0)+(0,0,2) = (2,2,2)$

大きさは、空間ベクトルの大きさの定義(3つの成分の2乗の和の平方根)より、

$|(2,2,2)| = \sqrt{2^2+2^2+2^2} = \sqrt{12} = 2\sqrt3$

一方、この計算を複素数の範囲でそのまま真似することはできません。なぜなら、複素数平面は「実部・虚部」という2つの成分だけを持つ、平面(2次元)の世界を表す道具だからです。$x,y,z$ という3つの成分を持つ空間ベクトルに対応するような「3次元の複素数」は、通常の複素数の枠組みの中には存在しません。複素数平面によるベクトルの表現は、あくまで平面(2次元)の図形を扱うときに使える便利な道具であり、空間(3次元)の図形には、素直に空間ベクトルそのものを使う必要がある、という単元どうしの守備範囲の違いを表しています。

答え:(1) $2\sqrt2$ (2) $2\sqrt2$、(1)と一致する (3) $2\sqrt3$。複素数平面は2成分(平面)しか表せないため、3成分をもつ空間ベクトルの計算をそのまま複素数で真似することはできない

総合問題6(応用)

問題

曲線 $xy=2$(直角双曲線)を考える。座標軸を原点のまわりに $45^{\circ}$ 回転させた新しい座標軸を $X$軸・$Y$軸とし、もとの座標 $(x,y)$ と新しい座標 $(X,Y)$ の間には、次の関係があるとする。

$x=X\cos45^{\circ}-Y\sin45^{\circ},\qquad y=X\sin45^{\circ}+Y\cos45^{\circ}$

(1) この関係を使って、$xy=2$ を $X,Y$ の関係式に書き換えよ。

(2) 複素数 $z=x+yi$ に、$\cos(-45^{\circ})+i\sin(-45^{\circ})$ をかけてできる複素数を $w=X+Yi$ とおくとき、$w=z\left(\cos(-45^{\circ})+i\sin(-45^{\circ})\right)$ の計算からも、(1)と同じ $X,Y$ の関係式($x,y$ を $X,Y$ で表す式)が得られることを確認せよ。

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単元の組み合わせ: 2次曲線(平面上の曲線)の座標軸回転による標準形の導出を、複素数平面の回転(複素数の掛け算)によっても実現できることを確かめる、この総合演習のまとめの問題です。

(1)

$\cos45^{\circ}=\sin45^{\circ}=\dfrac{\sqrt2}2$ なので、与えられた関係式は、

$x=\frac{\sqrt2}2(X-Y),\qquad y=\frac{\sqrt2}2(X+Y)$

これを $xy=2$ に代入します。

$xy = \frac{\sqrt2}2(X-Y)\times\frac{\sqrt2}2(X+Y) = \frac{(\sqrt2)^2}4(X-Y)(X+Y) = \frac24(X^2-Y^2) = \frac12(X^2-Y^2)$

($(X-Y)(X+Y)=X^2-Y^2$ という乗法公式を使いました。)これが $2$ に等しいので、

$\frac12(X^2-Y^2)=2 \quad\Longrightarrow\quad X^2-Y^2=4 \quad\Longrightarrow\quad \frac{X^2}4-\frac{Y^2}4=1$

これは、$a=b=2$ の直角双曲線(標準形)です。つまり、$xy=2$ という(見慣れない形の)曲線の正体は、座標軸を $45^{\circ}$ 回転させれば見慣れた双曲線の標準形になる、直角双曲線だったのです。

(2)

$\cos(-45^{\circ})=\dfrac{\sqrt2}2$、$\sin(-45^{\circ})=-\dfrac{\sqrt2}2$ です。

$w = (x+yi)\left(\frac{\sqrt2}2-\frac{\sqrt2}2i\right)$

右辺を展開します。

$= x\times\frac{\sqrt2}2 - x\times\frac{\sqrt2}2i + yi\times\frac{\sqrt2}2 - yi\times\frac{\sqrt2}2i$

$= \frac{\sqrt2}2x-\frac{\sqrt2}2xi+\frac{\sqrt2}2yi-\frac{\sqrt2}2yi^2$

$-yi^2=y$($i^2=-1$ なので $-i^2=1$)であることに注意すると、実部と虚部は、

$w = \left(\frac{\sqrt2}2x+\frac{\sqrt2}2y\right) + \left(-\frac{\sqrt2}2x+\frac{\sqrt2}2y\right)i = \frac{\sqrt2}2(x+y)+\frac{\sqrt2}2(y-x)\,i$

$w=X+Yi$ とおいているので、

$X=\frac{\sqrt2}2(x+y),\qquad Y=\frac{\sqrt2}2(y-x)$

この2つの式を、$x,y$ について解いてみます。$\sqrt2X=x+y$、$\sqrt2Y=y-x$ の辺々を足すと $\sqrt2X+\sqrt2Y=2y$ より $y=\dfrac{\sqrt2}2(X+Y)$。辺々を引くと $\sqrt2X-\sqrt2Y=2x$ より $x=\dfrac{\sqrt2}2(X-Y)$。

これは、(1)で与えられていた関係式 $x=\dfrac{\sqrt2}2(X-Y)$、$y=\dfrac{\sqrt2}2(X+Y)$ とまったく同じものです。つまり、「座標軸を $45^{\circ}$ 回転させる」という図形的な操作は、「複素数に $\cos(-45^{\circ})+i\sin(-45^{\circ})$ をかける」という複素数の演算として、正確に言い換えることができるのです。

複素数平面における回転が、単なる計算のテクニックではなく、座標軸の回転という図形的な操作の正確な代数的表現になっている、ということを表す、複素数平面の単元の核心にあたる事実です。

答え:(1) $\dfrac{X^2}4-\dfrac{Y^2}4=1$(直角双曲線の標準形) (2) $X=\dfrac{\sqrt2}2(x+y)$、$Y=\dfrac{\sqrt2}2(y-x)$ となり、(1)の関係式と一致する(導出は解説の通り)