数学II / 微分・積分の考え

微分を利用した最大・最小の文章題(体積・面積の最大化)

要点整理

微分を用いた最大・最小の文章題を解く手順

これまで、$f'(x)$ の符号を調べることで関数の増減や極値を求める方法を学んできました(前のページ「関数の増減と極値」)。この技術は、容積や面積などを最大(または最小)にする文章題にそのまま応用できます。ただし、文章題ならではの注意点があるので、次の手順に沿って進めましょう。

  1. 何を最大化・最小化したいかを明確にし、変数を1つ決める。 問題文の中で変化する量のうち、1つを文字($x$など)でおきます。
  2. 最大化・最小化したい量を、その変数の関数として表す。 容積なら $V(x)$、面積なら $S(x)$ のように、$x$ だけを使った式で表します。
  3. 変数の取りうる値の範囲(定義域)を求める。 長さは負にならない、辺の長さより短くなければならない、といった図形的な制約から、$x$ の範囲を正しく求めます。この手順を忘れて定義域の外にある値を答えにしてしまう間違いがとても多いので、特に注意が必要です。
  4. 関数を微分し、定義域内で増減表を作る。 $f'(x)=0$ となる $x$ を求め、その前後での符号を調べます。このとき、$f'(x)=0$ の解が定義域の外にある場合は、その解を増減表に含めてはいけません。
  5. 増減表から最大値・最小値を読み取る。 定義域内の唯一の極大値(または極小値)が、そのままその区間全体での最大値(最小値)になっている、という状況がよくあります。
  6. 求めた変数の値ではなく、問題で聞かれている量(容積や面積の値そのもの)を答える。 変数 $x$ の値だけを答えて満足してしまうミスが多いので気をつけましょう。

具体例で手順を確認してみましょう。

一辺の長さが $a$ の正方形の厚紙があります。この四隅から、一辺の長さが $x$ の正方形を切り取り、残った部分を折り曲げて、ふたのない直方体の箱を作ります。この箱の容積 $V$ を最大にする $x$ の値と、そのときの容積を求めてみましょう。

手順1・2:変数を決め、関数として表す

切り取る正方形の一辺の長さを $x$ とします。四隅を切り取って折り曲げると、箱の底面は一辺の長さが $a-2x$ の正方形になり、箱の高さは $x$ になります。したがって、箱の容積 $V$ は、底面積 $\times$ 高さで求められます。

$V(x)=(a-2x)^2\times x=x(a-2x)^2$

手順3:定義域を求める

$x$ が取りうる範囲を考えます。切り取る長さ $x$ は正でなければならないので $x>0$ です。また、底面の一辺の長さ $a-2x$ も正でなければならない(そうでないと底面が潰れてしまいます)ので、

$a-2x>0\ \Longrightarrow\ x<\frac{a}{2}$

以上をあわせて、定義域は

$0

です。

手順4:微分して増減表を作る

$V(x)=x(a-2x)^2$ を展開してから微分します。$(a-2x)^2=a^2-4ax+4x^2$ なので、

$V(x)=x(a^2-4ax+4x^2)=a^2x-4ax^2+4x^3$

これを $x$ について微分します。

$V'(x)=a^2-8ax+12x^2$

$V'(x)=0$ を解きます。$12x^2-8ax+a^2=0$ に解の公式を使うと、

$x=\frac{8a\pm\sqrt{(-8a)^2-4\times12\times a^2}}{2\times12}=\frac{8a\pm\sqrt{64a^2-48a^2}}{24}=\frac{8a\pm\sqrt{16a^2}}{24}$

$a>0$ より $\sqrt{16a^2}=4a$ なので、

$x=\frac{8a\pm4a}{24}$

複号を分けると、

$x=\frac{8a+4a}{24}=\frac{a}{2},\qquad x=\frac{8a-4a}{24}=\frac{a}{6}$

$x=\dfrac{a}{2}$ は定義域 $0

$x$ $0$ $\cdots$ $\dfrac a6$ $\cdots$ $\dfrac a2$
$V'(x)$ $+$ $0$ $-$
$V(x)$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$

$x=\dfrac a6$ で極大となり、定義域内で他に候補がないので、これがそのまま最大値になります。

手順5・6:最大値を計算する

$x=\dfrac a6$ を $V(x)=x(a-2x)^2$ に代入します。$a-2\times\dfrac a6=a-\dfrac a3=\dfrac{2a}{3}$ なので、

$V\left(\frac a6\right)=\frac a6\times\left(\frac{2a}{3}\right)^2=\frac a6\times\frac{4a^2}{9}=\frac{4a^3}{54}=\frac{2a^3}{27}$

以上より、$x=\dfrac a6$ のとき、容積は最大値 $\dfrac{2a^3}{27}$ をとります。

例題

例題1(基本)

問題

一辺の長さが $12\,\mathrm{cm}$ の正方形の厚紙がある。四隅から一辺の長さ $x\,\mathrm{cm}$ の正方形を切り取り、残った部分を折り曲げて、ふたのない直方体の箱を作る。容積が最大になるときの $x$ の値と、そのときの容積を求めよ。

解答・解説を見る

関数として表す:底面は一辺 $12-2x$ の正方形、高さは $x$ なので、容積は

$V(x)=x(12-2x)^2$

定義域を求める:$x>0$ かつ $12-2x>0$($x<6$)より、

$0

微分する:$(12-2x)^2=144-48x+4x^2$ より、

$V(x)=x(144-48x+4x^2)=144x-48x^2+4x^3$

$V'(x)=144-96x+12x^2=12x^2-96x+144=12(x^2-8x+12)$

$x^2-8x+12$ を因数分解します。積が $12$、和が $-8$ になる2数は $-2$ と $-6$ なので、

$V'(x)=12(x-2)(x-6)$

$V'(x)=0$ を解く:$x=2$ または $x=6$。$x=6$ は定義域 $0

符号を調べる

  • $00$ より $V'(x)>0$
  • $2

したがって $x=2$ で極大となり、これが最大値です。

最大値を計算する:$V(2)=2\times(12-4)^2=2\times8^2=2\times64=128$

答え:$x=2\,\mathrm{cm}$ のとき、容積は最大値 $128\,\mathrm{cm}^3$ をとる。

例題2(標準)

問題

長さ $60\,\mathrm{cm}$ の針金をすべて使って、底面が1辺の長さ $x\,\mathrm{cm}$ の正方形である直方体の枠(辺の部分だけでできた骨組み)を作る。この直方体の容積が最大になるときの $x$ の値と、そのときの容積を求めよ。

解答・解説を見る

状況を整理する:直方体の枠には辺が12本あります。そのうち、底面の正方形の辺が4本、上面の正方形の辺が4本の、合計8本が長さ $x$ の辺です。残りの4本は、高さにあたる辺(4本の柱)で、高さを $h$ とすると、これらの長さの合計は $4h$ です。針金の合計の長さが $60\,\mathrm{cm}$ なので、

$8x+4h=60$

関数として表す:上の式を $h$ について解きます。

$4h=60-8x\ \Longrightarrow\ h=15-2x$

直方体の容積は、底面積($x^2$)$\times$ 高さ($h$)なので、

$V(x)=x^2h=x^2(15-2x)=15x^2-2x^3$

定義域を求める:$x>0$ かつ $h>0$ が必要です。$h=15-2x>0$ より $x<7.5$。したがって、

$0

微分する

$V'(x)=30x-6x^2=6x(5-x)$

$V'(x)=0$ を解く:$x=0$ または $x=5$。$x=0$ は定義域の境界(範囲外)なので、定義域内の解は $x=5$ だけです。

符号を調べる

  • $00$ より $V'(x)>0$
  • $5

したがって $x=5$ で極大となり、これが最大値です。

最大値を計算する:$V(5)=15\times5^2-2\times5^3=15\times25-2\times125=375-250=125$

(このとき $h=15-2\times5=5$ となるので、実は底面 $5\times5$、高さ $5$ の立方体になっています。)

答え:$x=5\,\mathrm{cm}$ のとき、容積は最大値 $125\,\mathrm{cm}^3$ をとる。

例題3(応用)

問題

たて $10\,\mathrm{cm}$、よこ $16\,\mathrm{cm}$ の長方形の厚紙がある。四隅から一辺の長さ $x\,\mathrm{cm}$ の正方形を切り取り、残った部分を折り曲げて、ふたのない直方体の箱を作る。容積が最大になるときの $x$ の値と、そのときの容積を求めよ。

解答・解説を見る

関数として表す:四隅を切り取ると、底面は、たて $10-2x$、よこ $16-2x$ の長方形になり、高さは $x$ です。したがって、容積は

$V(x)=x(10-2x)(16-2x)$

定義域を求める:$x>0$ に加えて、たて・よこの辺の長さがどちらも正でなければなりません。

$10-2x>0\ \Longrightarrow\ x<5,\qquad 16-2x>0\ \Longrightarrow\ x<8$

この2つの条件を両方満たす必要があるので、より厳しい($x$の範囲が狭くなる)条件が定義域を決めます。$x<5$ は $x<8$ よりも厳しい条件なので、定義域は短い方の辺(たて $10\,\mathrm{cm}$)によって決まり、

$0

となります(長い方の辺だけを見て $x<8$ としてしまうミスに注意しましょう)。

微分する:$(10-2x)(16-2x)=160-52x+4x^2$ より、

$V(x)=x(160-52x+4x^2)=160x-52x^2+4x^3$

$V'(x)=160-104x+12x^2=12x^2-104x+160$

両辺を $4$ で割って考えると $3x^2-26x+40=0$ に対応します。解の公式を使うと、

$x=\frac{26\pm\sqrt{26^2-4\times3\times40}}{2\times3}=\frac{26\pm\sqrt{676-480}}{6}=\frac{26\pm\sqrt{196}}{6}$

$\sqrt{196}=14$ なので、

$x=\frac{26+14}{6}=\frac{40}{6}=\frac{20}{3},\qquad x=\frac{26-14}{6}=\frac{12}{6}=2$

定義域と照らし合わせる:$x=\dfrac{20}{3}\approx6.67$ は定義域 $0

符号を調べる:$V'(x)=12x^2-104x+160=12(x-2)\left(x-\dfrac{20}{3}\right)$ と因数分解できるので、

  • $00$ より $V'(x)>0$
  • $2

したがって $x=2$ で極大となり、これが最大値です。

最大値を計算する:$V(2)=2\times(10-4)\times(16-4)=2\times6\times12=144$

答え:$x=2\,\mathrm{cm}$ のとき、容積は最大値 $144\,\mathrm{cm}^3$ をとる。

練習問題

問題

一辺の長さが $18\,\mathrm{cm}$ の正方形の厚紙がある。四隅から一辺の長さ $x\,\mathrm{cm}$ の正方形を切り取り、ふたのない直方体の箱を作るとき、容積が最大になるときの $x$ の値と、そのときの容積を求めよ。

答え

要点整理で示したとおり、一辺 $a$ の正方形の厚紙の場合、容積が最大になるのは $x=\dfrac a6$ のときで、最大値は $\dfrac{2a^3}{27}$ でした。$a=18$ を代入すると、

$x=\frac{18}{6}=3,\qquad V=\frac{2\times18^3}{27}=\frac{2\times5832}{27}=\frac{11664}{27}=432$

答え:$x=3\,\mathrm{cm}$ のとき、容積は最大値 $432\,\mathrm{cm}^3$ をとる。