数学A
総合演習
この総合演習について
数学Aの3つの単元――図形の性質、場合の数と確率、整数の性質――は、一見ばらばらの内容に見えますが、入試問題では「円周上の点を組合せで選んで図形の性質を調べる」「さいころの目を整数の性質で分類してから確率を数える」のように、自然に組み合わさって出題されます。
この総合演習では、この3単元のうち2つ以上を組み合わせた問題を6問用意しました。最後の問題は、3つの単元すべてが登場する少し発展的な内容になっています。
総合問題1
問題
円に内接する正六角形の6個の頂点から、異なる3点を選んで三角形をつくる。
(1) 三角形の選び方は全部で何通りあるか。
(2) その中で、直角三角形になるものは何通りあるか。また、その確率を求めよ。
解答・解説を見る
単元の組み合わせ: 場合の数と確率の組合せ($_n\mathrm C_r$)で選び方の総数を数え、図形の性質の円周角の定理(タレスの定理)を使って直角三角形の条件を判断する問題です。
(1)
正六角形の頂点は6個あります。この中から異なる3点を選ぶ組み合わせの数は、
$_6\mathrm C_3 = \frac{6\times5\times4}{3\times2\times1} = \frac{120}{6}=20$
したがって、三角形の選び方は全部で $20$ 通りです。
(2)
円周角の定理には、「直径に対する円周角は $90^{\circ}$ である」という特別な場合(タレスの定理と呼ばれることもあります)があります。これは、直径に対する中心角が $180^{\circ}$ なので、円周角はその半分の $90^{\circ}$ になる、という円周角の定理からすぐに導ける事実です。
つまり、3点のうち2点が、円の中心を通る直径の両端(正六角形では、向かい合う頂点の組)になっていれば、残りの1点がどこであっても、その点から見た角は必ず $90^{\circ}$ になり、直角三角形ができます。
正六角形には、向かい合う頂点の組(直径の両端になる組)がちょうど $3$ 組あります(頂点を $A,B,C,D,E,F$ とすると、$A$-$D$、$B$-$E$、$C$-$F$ の3組です)。
それぞれの直径の組に対して、残りの1点の選び方は、6個の頂点からその2点を除いた $4$ 個のうちのどれでもよいので $4$ 通りです。したがって、直角三角形の総数は、
$3\times4=12\text{(通り)}$
ここで、「2組の直径のペアを同時に含む三角形」が二重に数えられていないかを確認しておく必要があります。しかし、直径のペアは2点を使うので、2組の直径ペアを同時に含むには4点が必要になり、三角形(3点)には収まりません。したがって重複はなく、$12$ 通りのままで正しいです。
求める確率は、(1)で求めた全体の $20$ 通りのうち、直角三角形になる $12$ 通りの割合なので、
$\frac{12}{20} = \frac{3}{5}$
答え:(1) $20$通り (2) $12$通り、確率 $\dfrac{3}{5}$
総合問題2
問題
大小2つのさいころを同時に投げ、大きいさいころの出た目を $a$、小さいさいころの出た目を $b$ とする。$a$ と $b$ が互いに素である($a$ と $b$ の最大公約数が $1$ である)確率を求めよ。
解答・解説を見る
単元の組み合わせ: 整数の性質の「最大公約数・互いに素」の考え方を使って好ましい場合を分類し、場合の数と確率の数え上げで確率を求める問題です。
$a,b$ はそれぞれ $1$ から $6$ までの整数で、目の出方は全部で $6\times6=36$ 通りです。この $36$ 通りのうち、$a$ と $b$ が互いに素になる(最大公約数が $1$ になる)組を数えます。
$a$ の値ごとに、互いに素になる $b$ の値を調べます。
- $a=1$:$1$ はどんな整数とも互いに素なので、$b=1,2,3,4,5,6$ の6通りすべてが該当します。
- $a=2$:$b$ が偶数($2,4,6$)だと最大公約数が $2$ 以上になってしまいます。$b=1,3,5$ の3通りが該当します。
- $a=3$:$b$ が $3$ の倍数($3,6$)だと最大公約数が $3$ になってしまいます。$b=1,2,4,5$ の4通りが該当します。
- $a=4$:$4$ との最大公約数が $1$ になるのは、$b$ が奇数のときです($b$ が偶数だと最大公約数は少なくとも $2$)。$b=1,3,5$ の3通りが該当します。
- $a=5$:$b$ が $5$ の倍数($5$)以外はすべて互いに素です。$b=1,2,3,4,6$ の5通りが該当します。
- $a=6$:$6=2\times3$ なので、$b$ が $2$ の倍数でも $3$ の倍数でもないものだけが互いに素になります。$1$ から $6$ のうち $2,3,4,6$ を除いた $b=1,5$ の2通りが該当します。
これらをすべて足し合わせると、
$6+3+4+3+5+2 = 23\text{(通り)}$
したがって、求める確率は、
$\frac{23}{36}$
検算: 互いに素にならない(最大公約数が $2$ 以上になる)組を直接数えると、$36-23=13$ 通りになるはずです。$a$ ごとの非該当数($6$通り中の残り)を数えると、$0,3,2,3,1,4$ となり、合計 $0+3+2+3+1+4=13$ となって一致します。この2通りの数え方が一致することから、答えが正しいことが確認できます。
答え:$\dfrac{23}{36}$
総合問題3
問題
三角形の3辺の長さがすべて整数であり、周の長さが $12$ であるとき、考えられる三角形の3辺の長さの組 $(a,b,c)$($a\le b\le c$)をすべて求めよ。ただし、三角形の成立条件(どの2辺の和も残りの1辺より大きいこと)を満たすものとする。
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単元の組み合わせ: 整数の性質の「座標や図形を利用した整数問題」というテーマそのもので、図形の性質(三角形の成立条件)を使って整数解の候補を絞り込む問題です。
$a+b+c=12$、$a\le b\le c$、かつ三角形の成立条件 $a+b>c$ を満たす正の整数 $a,b,c$ を探します。
まず、三角形の成立条件 $a+b>c$ と $a+b+c=12$(つまり $c=12-a-b$)を組み合わせます。
$a+b > 12-(a+b) \quad\Longrightarrow\quad 2(a+b)>12 \quad\Longrightarrow\quad a+b>6$
また、$a\le b\le c$ で $a+b+c=12$ より、$a$ はもっとも小さい辺なので $a\le \dfrac{12}{3}=4$ です($3$辺の平均以下でなければ最小にはなれません)。したがって $a=1,2,3,4$ の場合を順に調べます。
$a=1$ のとき
$b+c=11$、$a+b>6$ より $b>5$ すなわち $b\ge6$。一方 $b\le c$ と $b+c=11$ より $b\le\dfrac{11}{2}=5.5$ すなわち $b\le5$。$b\ge6$ と $b\le5$ は同時に成り立たないので、解なしです。
$a=2$ のとき
$b+c=10$、$a+b>6$ より $b>4$ すなわち $b\ge5$。$b\le c$ より $b\le\dfrac{10}{2}=5$。よって $b=5$ のみで、$c=10-5=5$。組 $(2,5,5)$ が得られます。確認:$2+5=7>5$ ✓。
$a=3$ のとき
$b+c=9$、$a+b>6$ より $b>3$ すなわち $b\ge4$。$b\le c$ より $b\le\dfrac{9}{2}=4.5$ すなわち $b\le4$。よって $b=4$ のみで、$c=9-4=5$。組 $(3,4,5)$ が得られます。確認:$3+4=7>5$ ✓。(これは有名な直角三角形です!)
$a=4$ のとき
$b+c=8$、$a+b>6$ より $b>2$(これは $b\ge a=4$ から自動的に満たされます)。$b\le c$ より $b\le\dfrac{8}{2}=4$。$b\ge a=4$ と合わせて $b=4$ のみで、$c=8-4=4$。組 $(4,4,4)$ が得られます。確認:$4+4=8>4$ ✓。(これは正三角形です。)
以上より、条件を満たす整数の組は $(2,5,5)$、$(3,4,5)$、$(4,4,4)$ の3組です。$(3,4,5)$ は直角三角形、$(4,4,4)$ は正三角形になっていて、整数の探索の中に見覚えのある図形が現れるのは面白い点です。
答え:$(a,b,c)=(2,5,5),\ (3,4,5),\ (4,4,4)$ の3組
総合問題4
問題
$1$個のさいころを続けて $4$回投げるとき、出た目すべての積が $3$ の倍数になる確率を求めよ。
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単元の組み合わせ: 場合の数と確率の反復試行の確率と、整数の性質の倍数の判定(積が $3$ の倍数になるのは、少なくとも1つの因数が $3$ の倍数のとき)を組み合わせる問題です。
積が「$3$の倍数になる」確率を直接求めるのは場合分けが多く大変なので、余事象(その事柄が起こらない場合)を考えます。余事象は「出た目すべての積が $3$ の倍数にならない」、つまり「$4$回とも、出た目が $3$ の倍数(つまり $3$ か $6$)でない」ということです。
積が整数の倍数になるかどうかを考えるとき、次の整数の性質が基本になります。「いくつかの整数の積が $3$ の倍数になるのは、その中の少なくとも1つが $3$ の倍数であるとき、かつそのときに限る」。この対偶を考えると、「積が $3$ の倍数にならない」のは「すべての数が $3$ の倍数でない」ときです。
1回のさいころ投げで、出た目が $3$ の倍数($3$ または $6$)でない確率は、$1$ から $6$ の目のうち $3,6$ を除いた $1,2,4,5$ の $4$通りなので、
$\frac{4}{6}=\frac23$
これを独立に $4$回繰り返して、$4$回とも $3$の倍数が出ない確率は、反復試行の確率の考え方(各回が独立なので確率をかけ合わせる)より、
$\left(\frac23\right)^4 = \frac{2^4}{3^4} = \frac{16}{81}$
これが余事象(積が $3$ の倍数にならない)の確率です。求める確率(積が $3$ の倍数になる確率)は、全体の確率 $1$ からこれを引いたものです。
$1-\frac{16}{81} = \frac{81-16}{81} = \frac{65}{81}$
答え:$\dfrac{65}{81}$
総合問題5
問題
正五角形の5つの頂点に、赤・青・黄・緑・紫の異なる5色をすべて使って1色ずつ塗る。ただし、正五角形を回転させて頂点の色の並びが一致する塗り方は、同じ塗り方とみなす(裏返す反転は考えないものとする)。塗り方は何通りあるか。
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単元の組み合わせ: 図形の性質の正多角形の回転対称性を、場合の数と確率の円順列の考え方に結びつける問題です。
正五角形の5つの頂点は、中心のまわりを $72^{\circ}$($=360^{\circ}\div5$)ずつ回転させると、頂点の位置が別の頂点の位置にちょうど重なる、という回転対称性を持っています。したがって、「回転させて一致するものは同じ塗り方とみなす」という条件は、頂点を円形に並べたときの「円順列」の考え方とまったく同じです。
円順列とは、いくつかのものを円形に並べる並べ方のうち、回転して重なるものを同じとみなした並べ方の総数のことでした。異なる $n$ 個のものを円形に並べる円順列の総数は、
$(n-1)!$
という公式で求められます。これは、$n$個をまっすぐ並べる順列の総数 $n!$ を、回転して同じになる $n$通り(どこを起点と考えるかの $n$通り)で割ったもの、$\dfrac{n!}{n}=(n-1)!$ として導かれる公式です。
今回は $n=5$(色の数、頂点の数)なので、
$(5-1)! = 4! = 4\times3\times2\times1=24$
したがって、塗り方は $24$ 通りです。
答え:$24$通り
総合問題6
問題
凸 $n$ 角形($n\ge4$)の対角線の本数は、次のように求められる。まず、$n$個の頂点から異なる2点を選んでできる線分の総数は $_n\mathrm C_2$ 本である。このうち、多角形の「辺」になっているものが $n$本あるので、対角線の本数は $_n\mathrm C_2-n$本である。
(1) 対角線の本数を $n$ の式で表し、$\dfrac{n(n-3)}{2}$ という形に変形せよ。
(2) 対角線の本数が $n$ の倍数となるような、$4$ 以上 $9$ 以下の整数 $n$ をすべて求めよ。
解答・解説を見る
単元の組み合わせ: 図形の性質(凸多角形の対角線)、場合の数と確率(組合せ $_n\mathrm C_2$)、整数の性質(偶数・奇数と倍数の判定)の3つの単元を同時に使う、この総合演習のまとめの問題です。
(1)
組合せの公式 $_n\mathrm C_2 = \dfrac{n(n-1)}{2}$ を使うと、対角線の本数は、
$_n\mathrm C_2 - n = \frac{n(n-1)}{2}-n$
$n$ を通分してまとめます。
$= \frac{n(n-1)}{2}-\frac{2n}{2} = \frac{n(n-1)-2n}{2} = \frac{n^2-n-2n}{2} = \frac{n^2-3n}{2} = \frac{n(n-3)}{2}$
たしかに $\dfrac{n(n-3)}{2}$ の形になりました。
(2)
対角線の本数を $D(n)=\dfrac{n(n-3)}{2}$ とします。「$D(n)$ が $n$ の倍数である」とは、$D(n)\div n$ が整数になる、ということです。
$\frac{D(n)}{n} = \frac{n(n-3)}{2n} = \frac{n-3}{2}$
これが整数になるのは、$n-3$ が偶数のとき、つまり $n$ が奇数のときです(偶数から $3$(奇数)を引くと奇数になり、奇数から $3$ を引くと偶数になる、という整数の偶奇の性質を使っています)。
$4$ 以上 $9$ 以下の整数のうち、奇数であるものは、
$n=5,7,9$
の3つです。実際に確かめてみましょう。
- $n=5$:$D(5)=\dfrac{5\times2}{2}=5$。$5\div5=1$ で整数 ✓
- $n=7$:$D(7)=\dfrac{7\times4}{2}=14$。$14\div7=2$ で整数 ✓
- $n=9$:$D(9)=\dfrac{9\times6}{2}=27$。$27\div9=3$ で整数 ✓
一方、偶数である $n=4,6,8$ では、
- $n=4$:$D(4)=\dfrac{4\times1}{2}=2$。$2\div4=0.5$ で整数にならない ✗
- $n=6$:$D(6)=\dfrac{6\times3}{2}=9$。$9\div6=1.5$ で整数にならない ✗
- $n=8$:$D(8)=\dfrac{8\times5}{2}=20$。$20\div8=2.5$ で整数にならない ✗
たしかに奇数のときだけ整数になっており、(2)の結論と一致しています。
答え:(1) $\dfrac{n(n-3)}{2}$(導出は解説の通り) (2) $n=5,7,9$