数学III
総合演習
この総合演習について
数学IIIの3つの単元――極限、微分法、積分法――は、実はこの順番で積み重なった、1本につながった内容です。微分係数(導関数)は極限を使って定義され、積分(定積分)は微分の逆演算として、そして区分求積法によって極限の考え方ともう一度つながります。
この総合演習では、「極限を使って微分の公式を証明し、その結果を積分に使う」という、数学IIIの入試問題でとても頻繁に見られるパターンを中心に、6問を用意しました。前半の問題は2単元の組み合わせ、最後の問題は3単元すべてを使う運動の問題です。
総合問題1
問題
導関数の定義 $f'(x)=\displaystyle\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}h$ と、加法定理、そして重要な極限 $\displaystyle\lim_{\theta\to0}\frac{\sin\theta}\theta=1$ を用いて、$f(x)=\sin x$ の導関数が $f'(x)=\cos x$ であることを証明せよ。
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単元の組み合わせ: 極限の重要公式($\lim_{\theta\to0}\frac{\sin\theta}\theta=1$)を使って、微分法の基本公式である $\sin x$ の導関数を、定義に従って一から証明する問題です。
導関数の定義に $f(x)=\sin x$ を代入します。
$f'(x) = \lim_{h\to0}\frac{\sin(x+h)-\sin x}h$
分子の $\sin(x+h)$ に加法定理 $\sin(A+B)=\sin A\cos B+\cos A\sin B$ を使って展開します。
$\sin(x+h) = \sin x\cos h+\cos x\sin h$
したがって、分子は、
$\sin(x+h)-\sin x = \sin x\cos h+\cos x\sin h-\sin x = \sin x(\cos h-1)+\cos x\sin h$
これを $h$ で割ると、
$\frac{\sin(x+h)-\sin x}h = \sin x\times\frac{\cos h-1}h+\cos x\times\frac{\sin h}h$
$h\to0$ の極限を、2つの項に分けて考えます。$x$ は $h$ に無関係な定数として扱えるので、$\sin x$、$\cos x$ はそのまま前に出せます。
$f'(x) = \sin x\times\lim_{h\to0}\frac{\cos h-1}h+\cos x\times\lim_{h\to0}\frac{\sin h}h$
後ろの極限は、問題文で与えられた重要な極限そのものです。
$\lim_{h\to0}\frac{\sin h}h=1$
前の極限 $\displaystyle\lim_{h\to0}\frac{\cos h-1}h$ を求めます。分子・分母に $\cos h+1$ をかけて、分子を有理化ならぬ「有名化」します。
$\frac{\cos h-1}h = \frac{(\cos h-1)(\cos h+1)}{h(\cos h+1)} = \frac{\cos^2h-1}{h(\cos h+1)}$
$\cos^2h-1=-(1-\cos^2h)=-\sin^2h$($\sin^2h+\cos^2h=1$ より)なので、
$= \frac{-\sin^2h}{h(\cos h+1)} = -\frac{\sin h}h\times\frac{\sin h}{\cos h+1}$
$h\to0$ のとき、$\dfrac{\sin h}h\to1$、$\sin h\to0$、$\cos h+1\to2$ なので、
$\lim_{h\to0}\frac{\cos h-1}h = -1\times\frac02=0$
これらを代入すると、
$f'(x) = \sin x\times0+\cos x\times1 = \cos x$
以上より、$f(x)=\sin x$ の導関数が $f'(x)=\cos x$ であることが、極限の定義に従って証明できました。この証明で使った2つの極限公式($\lim\frac{\sin h}h=1$ と $\lim\frac{\cos h-1}h=0$)は、$\cos x$ や $\tan x$ の導関数を導くときにも同じように使われる、非常に重要な極限です。
答え:証明終わり(導出は解説の通り、$f'(x)=\cos x$)
総合問題2
問題
$F(x) = \displaystyle\int_0^x(t^2-3t+2)\,dt$ とする。
(1) 微分積分学の基本定理を用いて $F'(x)$ を求めよ。
(2) $F(x)$ が極値をとる $x$ の値を、増減表を作ってすべて求めよ。
(3) $F(x)$ を実際に計算し、(2)で求めた $x$ における極値を求めよ。
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単元の組み合わせ: 積分法の微分積分学の基本定理(定積分で定義された関数の微分)を使って $F'(x)$ を求め、微分法の増減表の作り方で極値を判定する問題です。
(1)
微分積分学の基本定理とは、「$F(x)=\displaystyle\int_a^xf(t)\,dt$ という形で定義された関数 $F(x)$ を微分すると、もとの被積分関数 $f(x)$ にそのまま戻る」という定理でした。
$F'(x) = \frac{d}{dx}\int_0^x(t^2-3t+2)\,dt = x^2-3x+2$
(2)
$F'(x)=x^2-3x+2=(x-1)(x-2)$ です。$F'(x)=0$ となるのは $x=1,2$ のときです。
$F'(x)$ の符号を調べます。$x<1$(例えば $x=0$)のとき、$F'(0)=(0-1)(0-2)=2>0$。$1
増減表にすると、$F$ は $x<1$ で増加、$1
(3)
$F(x)$ を実際に積分で計算します。
$F(x) = \int_0^x(t^2-3t+2)\,dt = \left[\frac{t^3}3-\frac{3t^2}2+2t\right]_0^x = \frac{x^3}3-\frac{3x^2}2+2x$
$x=1$ を代入します。
$F(1) = \frac13-\frac32+2$
通分して計算します(分母を$6$にそろえます)。
$= \frac26-\frac96+\frac{12}6 = \frac{2-9+12}6=\frac56$
$x=2$ を代入します。
$F(2) = \frac{2^3}3-\frac{3\times2^2}2+2\times2 = \frac83-6+4 = \frac83-2$
$2=\dfrac63$ なので、
$F(2) = \frac83-\frac63=\frac23$
したがって、$x=1$ で極大値 $\dfrac56$、$x=2$ で極小値 $\dfrac23$ をとります。
答え:(1) $F'(x)=x^2-3x+2$ (2) $x=1$で極大、$x=2$で極小 (3) 極大値 $F(1)=\dfrac56$、極小値 $F(2)=\dfrac23$
総合問題3
問題
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^n\frac1n\left(\frac kn\right)^2$ を、次の2つの方法でそれぞれ求め、同じ値になることを確かめよ。
(1) 区分求積法を用いて定積分に直して求める方法。
(2) 和の公式 $\displaystyle\sum_{k=1}^nk^2=\frac{n(n+1)(2n+1)}6$ を使って、和を先に計算してから $n\to\infty$ の極限をとる方法。
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単元の組み合わせ: 積分法の区分求積法と、極限(数列の極限、和の公式を使った直接計算)という、2通りの方法で同じ極限値が得られることを確認する問題です。
(1) 区分求積法を用いる方法
区分求積法は、区間 $[0,1]$ を $n$ 等分し、$x_k=\dfrac kn$ での関数の値 $f(x_k)$ に、幅 $\dfrac1n$ をかけて足し合わせたものが、$n\to\infty$ で定積分 $\displaystyle\int_0^1f(x)\,dx$ に近づく、という考え方です。
$\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^n\frac1n\left(\frac kn\right)^2 = \lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^n\frac1nf\left(\frac kn\right)\qquad\left(f(x)=x^2\right)$
この形はまさに区分求積法の形なので、
$= \int_0^1x^2\,dx = \left[\frac{x^3}3\right]_0^1 = \frac13$
(2) 和の公式を使う方法
$\displaystyle\sum_{k=1}^n\frac1n\left(\frac kn\right)^2 = \frac1{n^3}\sum_{k=1}^nk^2$ と変形できます($\dfrac1n\times\dfrac1{n^2}=\dfrac1{n^3}$ が $k$ に無関係な定数なので、$\Sigma$ の前に出せます)。
$\frac1{n^3}\sum_{k=1}^nk^2 = \frac1{n^3}\times\frac{n(n+1)(2n+1)}6 = \frac{(n+1)(2n+1)}{6n^2}$
分子を展開すると $(n+1)(2n+1)=2n^2+3n+1$ なので、
$\frac{(n+1)(2n+1)}{6n^2} = \frac{2n^2+3n+1}{6n^2} = \frac13+\frac1{2n}+\frac1{6n^2}$
(各項を $6n^2$ で割りました。)$n\to\infty$ のとき、$\dfrac1{2n}\to0$、$\dfrac1{6n^2}\to0$ なので、
$\lim_{n\to\infty}\left(\frac13+\frac1{2n}+\frac1{6n^2}\right) = \frac13$
まとめ
(1)の区分求積法による方法でも、(2)の和の公式を使う直接的な方法でも、どちらも同じ値 $\dfrac13$ が得られました。これは偶然ではありません。区分求積法とは、まさに「和の極限」を「定積分」という別の道具で計算する方法にほかならないからです。ふだんは(1)の方法(区分求積法)を使う方が計算は楽ですが、その正しさの裏付けとして、(2)のような直接計算と一致することを一度確認しておくと理解が深まります。
答え:どちらの方法でも $\dfrac13$
総合問題4
問題
$f(x)=x-x^3$ とする。
(1) $f'(x)$ を求め、増減表を作ることで、$0\le x\le1$ の範囲で $f(x)\ge0$ であることを示せ。
(2) 曲線 $y=f(x)$($0\le x\le1$)と $x$軸で囲まれた図形を、$x$軸のまわりに1回転させてできる立体の体積 $V$ を求めよ。
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単元の組み合わせ: 微分法の増減表を使って関数の符号(非負性)を証明し、その事実を根拠として積分法の回転体の体積を計算する問題です。
(1)
$f'(x) = 1-3x^2$
$f'(x)=0$ となるのは、$3x^2=1$ より $x^2=\dfrac13$、$x=\pm\dfrac1{\sqrt3}$ です。$0\le x\le1$ の範囲にあるのは $x=\dfrac1{\sqrt3}$($\approx0.577$)だけです。
増減表を作ります。$0\le x<\dfrac1{\sqrt3}$ では $f'(x)>0$(たとえば $x=0$ で $f'(0)=1>0$)なので $f(x)$ は増加、$\dfrac1{\sqrt3} 区間の両端の値は、$f(0)=0-0=0$、$f(1)=1-1=0$ です。 つまり、$f(x)$ は $x=0$ で $0$ から出発し、$x=\dfrac1{\sqrt3}$ まで増加して正の値になり、その後 $x=1$ まで減少して再び $0$ に戻る、という動きをします。増加している区間でも減少している区間でも、$f$ の値が $0$ を下回ることはありません(増加区間は $f(0)=0$ から増えていくだけなので $0$ 以上、減少区間は正の極大値から $f(1)=0$ まで減るだけなので、途中で $0$ を下回ることなく $0$ に到達します)。 したがって、$0\le x\le1$ の範囲全体で $f(x)\ge0$ であることが示されました。 (2) $f(x)\ge0$ が示されたので、この区間で曲線 $y=f(x)=x-x^3$ は $x$軸より下に出ることがなく、$x$軸と挟む図形が well-defined(きちんと定まっている)であることが保証されます。回転体の体積の公式 $V = \pi\int_0^1\{f(x)\}^2\,dx$ を使います。$\{f(x)\}^2=(x-x^3)^2$ を展開します。乗法公式 $(a-b)^2=a^2-2ab+b^2$ を $a=x,b=x^3$ として使うと、 $(x-x^3)^2 = x^2-2x\cdot x^3+x^6 = x^2-2x^4+x^6$ これを積分します。 $V = \pi\int_0^1(x^2-2x^4+x^6)\,dx = \pi\left[\frac{x^3}3-\frac{2x^5}5+\frac{x^7}7\right]_0^1 = \pi\left(\frac13-\frac25+\frac17\right)$ $\dfrac13,\dfrac25,\dfrac17$ を通分します。分母の最小公倍数は $3\times5\times7=105$ です。 $\frac13=\frac{35}{105},\qquad \frac25=\frac{42}{105},\qquad \frac17=\frac{15}{105}$ $\frac13-\frac25+\frac17 = \frac{35-42+15}{105} = \frac8{105}$ したがって、 $V = \frac{8\pi}{105}$ 答え:(1) $f(x)\ge0$(証明は解説の通り) (2) $V=\dfrac{8\pi}{105}$
総合問題5
問題
$\displaystyle\lim_{x\to2}\frac{x^3-8}{x-2}$ を、次の2つの方法でそれぞれ求め、一致することを確かめよ。
(1) 因数分解を用いて、直接この極限を計算する方法。
(2) この極限が、ある関数の $x=2$ における微分係数(導関数の値)そのものであることを見抜き、微分の公式を使って求める方法。
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単元の組み合わせ: $0/0$ の不定形の極限の問題が、実は微分法の微分係数の定義とまったく同じ形をしている、ということを見抜く問題です。
(1) 因数分解による方法
因数分解の公式 $a^3-b^3=(a-b)(a^2+ab+b^2)$ を、$a=x,b=2$ として使います。
$x^3-8 = x^3-2^3 = (x-2)(x^2+2x+4)$
したがって、$x\ne2$ のとき、
$\frac{x^3-8}{x-2} = \frac{(x-2)(x^2+2x+4)}{x-2} = x^2+2x+4$
($x\to2$ の極限を考えるときは $x=2$ そのものではなく $x$ が $2$ に限りなく近づく状況を考えるので、$x\ne2$ として約分してよいことに注意してください。)$x\to2$ の極限をとると、
$\lim_{x\to2}(x^2+2x+4) = 2^2+2\times2+4 = 4+4+4=12$
(2) 微分係数として求める方法
微分係数の定義には、$h\to0$ を使う形($f'(a)=\lim_{h\to0}\frac{f(a+h)-f(a)}h$)のほかに、$x\to a$ を使う同値な形があります。
$f'(a) = \lim_{x\to a}\frac{f(x)-f(a)}{x-a}$
(この2つの定義が同じものであることは、$x=a+h$ と置き換えれば確認できます。$x\to a$ は $h\to0$ に対応します。)
今回の極限 $\displaystyle\lim_{x\to2}\frac{x^3-8}{x-2}$ を、この形と見比べます。$8=2^3$ なので、
$\frac{x^3-8}{x-2} = \frac{x^3-2^3}{x-2} = \frac{f(x)-f(2)}{x-2}\qquad\left(f(x)=x^3\text{ とおいた場合}\right)$
つまり、この極限は「$f(x)=x^3$ の $x=2$ における微分係数 $f'(2)$」にほかなりません。
$f(x)=x^3$ を微分すると(累乗の微分公式 $\dfrac d{dx}x^n=nx^{n-1}$ より)、$f'(x)=3x^2$ です。したがって、
$f'(2) = 3\times2^2 = 3\times4=12$
まとめ
(1)の因数分解による直接計算でも、(2)の「微分係数だと見抜く」方法でも、どちらも $12$ という同じ値が得られました。実は、$0/0$ の不定形になる極限の多くは、このように何らかの関数の微分係数として解釈できます。逆に言えば、微分係数の定義そのものが、$0/0$ の不定形の極限を扱う技術だったのだ、ということがこの問題からわかります。
答え:どちらの方法でも $12$
総合問題6(応用・まとめ)
問題
数直線上を動く点 $\mathrm P$ の、時刻 $t$($t\ge0$)における位置が $x(t)=t^3-6t^2+9t$ で与えられている。
(1) 導関数の定義 $v(t)=\displaystyle\lim_{h\to0}\frac{x(t+h)-x(t)}h$ に従って、実際に展開・約分をして極限を計算することで、速度 $v(t)$ を求めよ。
(2) $0\le t\le4$ の範囲で、点 $\mathrm P$ が原点からもっとも遠ざかる時刻と、そのときの位置を求めよ。
(3) 時刻 $0$ から時刻 $4$ までに、点 $\mathrm P$ が実際に移動した道のり(向きを考えず、動いた距離の合計)を求めよ。
解答・解説を見る
単元の組み合わせ: 極限による微分係数の定義、微分法による速度・増減の分析、積分法(速度を積分すると道のりが求まるという考え方)の3単元すべてを使う、この総合演習のまとめの問題です。
(1)
$x(t+h)$ を計算します。
$x(t+h) = (t+h)^3-6(t+h)^2+9(t+h)$
$(t+h)^3=t^3+3t^2h+3th^2+h^3$、$-6(t+h)^2=-6(t^2+2th+h^2)=-6t^2-12th-6h^2$、$9(t+h)=9t+9h$ をすべて足し合わせると、
$x(t+h) = t^3+3t^2h+3th^2+h^3-6t^2-12th-6h^2+9t+9h$
これから $x(t)=t^3-6t^2+9t$ を引きます。
$x(t+h)-x(t) = 3t^2h+3th^2+h^3-12th-6h^2+9h$
すべての項に $h$ が含まれているので、$h$ で割ります。
$\frac{x(t+h)-x(t)}h = 3t^2+3th+h^2-12t-6h+9$
$h\to0$ とすると、$h$ を含む項($3th$、$h^2$、$-6h$)はすべて $0$ に近づくので、
$v(t) = 3t^2-12t+9$
(これは、累乗の微分公式を使って $x(t)$ を直接微分した結果 $x'(t)=3t^2-12t+9$ と一致しており、定義から計算しても公式の結果が正しく再現されることが確認できます。)
(2)
$v(t)=3t^2-12t+9=3(t^2-4t+3)=3(t-1)(t-3)$ です。$v(t)=0$ となるのは $t=1,3$ です。
符号を調べます。$0\le t<1$(例えば $t=0$)で $v(0)=3(-1)(-3)=9>0$(正の向きに移動)。$1
各時刻での位置を計算します。
$x(0)=0,\quad x(1)=1-6+9=4,\quad x(3)=27-54+27=0,\quad x(4)=64-96+36=4$
$0\le t\le1$ では $v>0$ なので $x(t)$ は単調に $0$ から $4$ まで増加し、$1\le t\le3$ では $v<0$ なので $4$ から $0$ まで単調に減少し、$3\le t\le4$ では $v>0$ なので再び $0$ から $4$ まで単調に増加します。このように $x(t)$ は $0$ から $4$ の間を行き来するだけなので、この範囲で $x(t)$ が負になることはなく、原点からの距離は $|x(t)|=x(t)$ です。
$x(t)$ の候補となる値($t=0,1,3,4$ での値)を比べると、最大値は $4$ で、これは $t=1$ と $t=4$ の両方で達成されます。つまり、点 $\mathrm P$ は $t=1$ のときと $t=4$ のときの2回、原点からの距離が最大の $4$ になります。
(3)
道のり(向きを考えない移動距離の合計)は、速度の絶対値を積分したもの $\displaystyle\int_0^4|v(t)|\,dt$ です。$v(t)$ の符号が区間ごとに変わるので、符号が変わらない区間に分けて計算します。それぞれの区間で、速度を積分した値は、微分積分学の基本定理により、区間の両端での位置の差になります。
区間 $[0,1]$($v\ge0$): 移動距離は $x(1)-x(0)=4-0=4$
区間 $[1,3]$($v\le0$): 実際の位置の変化は $x(3)-x(1)=0-4=-4$(位置は $4$ 減った)ですが、道のりとしては向きを考えないので、移動した距離は $|-4|=4$
区間 $[3,4]$($v\ge0$): 移動距離は $x(4)-x(3)=4-0=4$
これらをすべて合計すると、
$4+4+4=12$
これが、時刻 $0$ から時刻 $4$ までの道のりです。
なお、点 $\mathrm P$ の時刻 $0$ から時刻 $4$ までの位置の変化(変位)は $x(4)-x(0)=4-0=4$ で、道のり $12$ とはまったく異なる値です。位置は行ったり来たりしながら最終的には $4$ だけ進みましたが、実際に動いた距離の合計は $12$ である、という「変位」と「道のり」の違いが、この問題からはっきりと確認できます。
答え:(1) $v(t)=3t^2-12t+9$ (2) $t=1$ と $t=4$ のとき、どちらも位置 $4$ で最大(原点から距離 $4$) (3) 道のり $12$